第2章 住
たぶん、女は。
男よりも『結婚』に理想があって。
男が妄想する『恋人』以上に求めるものが。
すげェ詰まってると思う。
昔は結婚するなら『三高』なんて言葉があったけど。
俺、ひとつも当てはまらねェな…。
『高収入』
『高学歴』
『高身長』
俺は朱里ちゃんよりも稼ぎがないし。
貯金もないし。
ギャンブル好きだし。
酒も好きだし。
ある意味、大食らいの瘤付きだし。
何より、年上のオッサンだし。
年頃の女のコから見たら、イイトコロ無くね?
それでも。
この星が。
汚れたこの街が。
俺の居る万屋屋が。
好きだと言った。
住みにくいけれど。
この街で暮らして行きたいと言った。
だから。
望み通りに帰ってくればいい。
日常生活を取り戻せばいい。
ここが、朱里ちゃんの住処だろ?
どっかの星で、勝手にくたばるなんて。
そんなの、許さねェ。
無意識で。
無自覚で。
俺を口説いて。
あれだけ有頂天にさせといて。
一生のお願いされた俺の立場、ちっとは考えろ。
帰り道に迷ったなら。
たばこ屋の角まで、迎えに行ってやらァ。