第18章 欲
立ち位置が入れ替わって。
腰をシンクに預けた朱里ちゃんを。
その両側に置いた手で閉じ込める。
簡単には逃げられないってこと。
少しずつ学習、しといてくれ。
俺の両襟を掴んで。
吐息が触れ合う距離に、その唇。
軽く触れては離れて。
角度を変えて、また触れる。
幾度目か数えちゃいないが。
こういう口付けも。
嫌いじゃない。
「もう、勘弁して」
その言葉を合図に。
受け身の側は終い。
シンクに置いた手で、腰と。
後頭部を掻き抱く。
「もう、観念しろ」
指に絡む髪も。
半開きの唇も。
華奢な腰も。
全部。
俺のモノだ。
少し長めの口付けをして。
その反応を確かめて。
首に回された腕が。
その先を、促すように。
「もっと、」
いいの?
そんなこと言って。
正直、俺もそんなに余裕が無いよ?
止めてって言われても。
今回は、止めてあげられないかも。
欲しがってるって。
勘違いしちゃうよ?
布団まで我慢できないかもよ?
イヤ、それは流石に我慢するけど。
もっと、触れて。
もっと、先を。
もっと、求めて。
余裕綽々に見える、俺を保ててる間に。
その唇で一言。
『欲しい』と。
そう言ってくれたら。