• テキストサイズ

糖分過剰摂取症候群【銀魂】

第17章 帰


「女性専用なので、通報されます」

そう言った朱里ちゃんに促されて、敷居を跨ぐ。
女のコの部屋に上がるなんて、久方ぶりだ。
綺麗で広い1LDKの造り。

「急いで、準備します」

ソファを勧めて、奥に入って行く。
前に言ってた。
『基本、寝袋』で眠るという言葉。
必要最低限の物だけが並ぶ部屋を見て。
執着がないのだと知る。

「ここが帰る場所じゃねェってことか」

何もない部屋を見回して。
窓辺に足を向ける。
小さく見えた万事屋。
彼処より、見晴らしが良くて。
セキュリティも万全。
年頃の女のコの部屋の中なんて知らねェけど。
余りにも殺風景だ。

「お待たせしました」

扉が開いた先も薄暗い。
生活臭が、無い。

「朱里ちゃん、ちょっと」

俺の手招きに、荷物を置いて寄ってくる。
万事屋でも、自分家でも、無防備なのは変わらない。

「銀さん、ここまでの道は覚えたから。何かあったら、ちゃんと助けを請うようにしてくれ。それが些細なことでもいいから」

「はい」

「これからは帰る場所、あんだろ?」

「はい」

「約束ね」

「はい」

子どもをあやすように頭を数回撫でて。
それから、ギュッと抱き締める。

「お利口な朱里ちゃんに、ご褒美な」

甘えるのが下手な、俺と朱里ちゃん。
お互いを甘やかして。
これからは、お互いが帰る場所に。

そうなればいいと、俺は思うんだけど。

/ 249ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp