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【100プリ】瞳に映して

第5章 教えて…


しばらく子どもたちと話した後、
ミサが行われている
隣の教会へとやってきた。

「うわ…綺麗…」

大きなステンドグラスが
キラキラと輝いている。

「座れよ。」

一番後ろの席にシドと座る。


「教会と孤児院は
あの司祭が作ったんだ。」

ミサの最中の司祭に目線を移す。

「シドの仲間?」

「ああ。
この教会と孤児院ができる前、
ここはもう誰のものともわからないような
廃墟があった。

そこで身寄りのない子どもたちが
助け合って暮らしていた。

それなりにトラブルが起きたりもしたが、
みんなで解決して、
楽しく過ごしていたな…」

見つめるシドの瞳の先には
司祭とステンドグラスがあった。

「あいつは…
ある時、ここを買い取って
孤児院を建てるとか言い出してな…」

思い出すように紡いでいく言葉を
アヤセは丁寧に聞いていた。

「最初はみんなそんなの無理だ、
とか言ってたが、
あいつは持ち主不明に等しかった
この土地と建物の所有者を
探し出して説得して
無償で土地を譲り受けて…

それからはみんなも協力的になって、
資金集めたり、行政や支援者を動かして…

それで本人は司祭の勉強しながら、
こんな立派な教会と孤児院を
作っちまった。」

「そうなんだ…」

司祭とステンドグラスに目を移す。

「あのステンドグラスは
ここで暮らしていた奴らで出した
建築案の一つだ。
自分達が暮らした暗い廃墟に
光を当てるんだってな。」

「すごく綺麗だね…
最初に入ってきたときに
まっさきに目がいったよ…」

(あ…)

アヤセは何かに気付き、
再びシドの顔を…
瞳を見つめる…

「あ?なんだよ。」

「う、ううん…何でもない…

ボルジア家の事件のときもそうだったけど、
シドの仲間はみんなすごいね。
仲間想いだし、聡明だし…」

(なんとく気付いた…)

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