• テキストサイズ

プリズム◇黒子のバスケ夢小説

第1章 誠凜高校入学


今、私は誠凜高校の門前で立ち往生している。
理由は、校舎までの道のりに部活ブース案内…
もとい「勧誘」で先輩方が必死に新入生を足止めし、門前まで人でごった返しているからだ。

『うわぁ…あの人混みの中を割って歩くの嫌すぎる…』

何処か抜け道は無いかと、辺りを見回すが…

人、人、人。

『…このままだと、バスケ部のブース何処か校舎までも辿り着けない気がする。』

「──バスケ部のブースへ行かれるんですか?」

(え?)

背後から降る声に振り向くと、印象の薄い青年が本を開いたまま立っていた。
水色の髪は春風に靡き、硝子玉のような大きな目は感情を表さず、何処かぼんやりしている。

(…誰?)

「これから僕も向かう所なので、一緒に行きましょう。」

パタン─と、彼の手元にある本を閉じる音に一瞬だけど気を取られていると、不意に手を掴まれて歩き出す。

「僕の後ろを付いて来て下さい。」

『へ?』

間の抜けた声が漏れたが仕方がない。

(な、な、な、何!?この状況!?)

彼は気にする事無く人の群れの中へと突き進んで行く。

(ちょ、無謀すぎるって!)

と、掴まれた手を引こうとした瞬間──。

サァァ…

(──え?)

それは、まるで海の波が引いていくように“人が自分達を避けている”ように見え、“風が通り抜ける隙間道を歩いている”ようにも見えた。

(信じられない。あの人混みの中をこんなにスムーズに歩けるなんて。)

周囲を見渡せば、相変わらず立ち往生している新入生達が「10分で5mも動けない!」とか「ラッセル車持って来い!」とか言って苛立っている。

(どーなってるのか全然解らない。…けど、)

『凄い…』

繋がっている手から視線を上げ、彼の背中を見る。

自分と比べると長身に感じるが、細身でそこら辺にいる男子と何ら変わらない。普通の青年だ。

(けど、何か…違う。何が──)

「着きました。」

振り返った彼に考えていた思考を真っ白にされ、フリーズする。

『え?…あ。』

気付けば、目の前にバスケ部のブースがあった。

/ 53ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp