第4章 研究員マコ・カミザワの手記3
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ファイルナンバーC‐320514-17
財団職員マコ・カミザワの手記3
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SCP‐073「カイン」との接触は驚く程スムーズだった。
落ち着いていて、こちらの話すことに真摯に耳を傾けてくれた。
私は緊張で少々早口になってしまっていたかもしれない。
それは仕方が無い。
人型SCPの中でも特に温和で、SCP‐073との
交流を好む者が男女問わず多いと聞いてはいたけれどそれも納得がいく。
あれほど端正な顔立ちをした男性を見たのは、生まれて初めてだった。
あの目の色、忘れられない。
財団から渡されたプロファイルにはこうあった。
"SCP-073はアラビアか中東のとても日焼けした
30代前半の男性のような姿をしており、
身長185cm、体重75kgで黒髪の青い瞳をしています。
両腕、両足、脊柱、両肩甲骨は
未知の作りの金属に入れ換わっているように見えます。
額にはシュメール語と思われるシンボルが刻まれています。
シンボルはまだ翻訳されていません。
定期的に飲食をしなければなりませんが、
植物由来のものの影響を受けるため完全に肉食です。"
とある。
その特異な性質、この財団へ収容、保護される事となった
理由には気をつけなければならない。
植物由来、土から生育されるありとあらゆるもの、
SCPも含めて、がSCP‐073に近づくと生命活動を停止する。
加工された物に関しては触れたものが腐敗、劣化してしまうのだ。
そしてどんな物によっても傷つかない。
SCP-073へ振るわれた暴力は攻撃者に直接
そのままの威力で跳ね返されSCP-073は無傷のままだという。
SCP‐073に関する様々なテストの結果を見たが
こんなものまで?というテストにまで参加し、
人を喜ばせる性格がうかがえた。
私はこれから、彼と"交配"をするのだ。
深くは考えないようにしよう。
これは、実験。テスト。
大いなる目的と、使命を胸に当たらねばならない。