第3章 被験者マコ・カミザワとSCP-073の接触音声ファイル
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ファイルナンバーC-320514-15
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被験者マコ・カミザワとSCP-073の
最初の接触の音声のみを文字に起こした
記録ファイルです
(女性の声。以下:M):初めまして、カイン。私の名前はマコ・カミザワと言います。
(男性の声。以下:C):初めまして。マコ。
(沈黙)
M:初対面でいきなりこんなことを申し上げるのは非常に心苦しいのですが、
あなたが私たちに非常に協力的で友好的な存在であると見込んでの、お願いがあるのです。
C:何なりと。
M:ありがとう。では、申し上げます。
現在、人類だけでなくすべての存在のその生命活動の存続が危ぶまれている状態です。
もちろん、貴方も含めて。そこで当財団の上層部はあるプロジェクトを発足させました。
(沈黙)
M:人型オブジェクトと、人類との交配です。
人型オブジェクトの多くは人間よりも頑強で、
その遺伝子を受け継ぐことが出来れば現在想定されている
Kクラスシナリオを回避することが出来るのではないか、という展望です。
(沈黙)
M:もうお察しかと思われますが
そのプロジェクトの被験者として貴方が、
そしてパートナーとして私が選ばれました。
そしてこれにはもちろん、貴方には拒否することが
出来る権利があります。
しかし今拒否をしたとしても近日中には別の-
C:拒否はしないと言ったら?
(沈黙)
M:ありがとうございます。
協力に大変感謝致します。
それでは条件や環境、報酬希望などを-
C:僕は構わないが、君はどうなんだ?
M:と、申しますと?
C:君の方に、拒否の意思はないのかい?そんなに震えて-
M:これは一過性の緊張によるものです。
大丈夫なので私のことは気にしないでください。
お心遣いありがとう。それでは、失礼します。
〈ファイル終了〉
〈尚、この接触直後に被験者マコ・カミザワには
著しい発汗、体温と心拍数の上昇が見られたため
カウンセリングとクリニックでの経過観察が行われました。〉