第38章 第7班再始動!
sideーカカシー
雪の国に向かう船の上、俺達7班は護衛対象の映画の撮影を見学していた。
途中、俺はルミがいないことに気づいて辺りを見る。
ルミは船の端で海を眺めていた。
『……すごい、綺麗だな……』
ルミは海を見つめてそう呟いた。
「……ん~、オレにはただの塩水にしか見えないけどねぇ?」
俺はつい思ったままを口にした。
『……先生には情緒ってもんがないんですか?
……きっと、朝靄にわくわくしたり、春の風にときめいたり、卵焼きの黄色さに感動したりとかしないんでしょうね!可哀想に!』
すると、ルミは半目になってそう言うと、俺を呆れたように見てから海に視線を戻した。
「……えっ?」
俺はルミの言葉に驚く。
始めのはまだあったとしても、卵焼きの黄色さに感動とは理解できない。
俺は、ルミのおかしな一面を垣間見てしまったような気がした。
『……生きてて良かったな~』
俺がそんなことを考えていると、ルミが呟いた。
『……だって、綺麗なもの見れて幸せだなぁって思いません?』
俺の視線に気付いたルミが笑ってそう言う。
「……流って、いつもそんなこと考えて生きてるの?」
俺がそうきくと、ルミは首を傾げた。
「ん~、だから、何か見るたび、生きてて良かったとか幸せだなぁ、とか?」
俺の言葉にルミが頷いた。
「……プラス思考だね……」
俺がそう言うと、ルミはどこか遠くを見るような目をした。