第38章 第7班再始動!
『……そうでもないですよ?
…………そうでも思ってなくちゃ、生きてられないような弱い人間だったんです。』
私は前世を思い出した。
不幸だと思ったことはないのに生きているのが辛かった。
だから、毎日幸せを見付けることに必死になっていた。
死にたくないのに、生きていることが嫌だったあの頃は、そうでもしないとどうにかなってしまいそうだった。
カカシは私の言葉に驚いたように振り返った。
『……でも、今はわざわざ探さなくても毎日幸せ一杯ですよ?』
私がそう言うと、カカシは見えている方の固めを大きく開いた。
そして、今度はその目を細めると、私の頭に手をのせた。
「……それは良かった。」
そう言ってカカシは私の頭を撫でた。
私は、自分の頭を撫でる大きな手に、逆らえないものが沸き上がり、目の前の緑色のベストに顔面から突っ込んだ。
「……えっ?」
カカシは突然抱きついた私に戸惑っていた。
変化していて本来よりも背が高くなっているのに、私の頭はカカシの胸程度だった。
何故か、それが私を安心させる。
『……先生が悪いんです。
頭撫でたりするから……お父さんって呼びますよ!』
私は、ふざけてそう言うとカカシから離れた。
(本当はぎゅってしてほしかったな~)
そんなことを思いながら、ナルトたちのもとへ駆け出す。
(前世の時から大人の人見るとぎゅってしてほしくなるんだよね……)
私はこれが、前世で父親に愛されたかったという反動のせいだと気づいていなかった。