第38章 第7班再始動!
『……それから、雪絵さん……本当に役者が好きならここで逃げたら後悔しますよ?
それに…………春を見たくはないですか?』
私の言葉に、小雪が目を見開いた。
他の五人は訳が分からないようで不思議そうに見ている。
「……でも、私はっ!」
小雪がそう言ったとき、私は、小雪の耳元で囁いた。
『……小雪さん、貴女の素性は敵に知られています。
敵に雪の国にさらわれるのと、俺たちと雪の国に行くの好きな方を選んでください。』
私がそう言うと、小雪の顔が瞬く間に青くなる。
「…………わかったわ……」
小雪は立ち上がるとそう言った。
その言葉に三太夫が安心したような顔になる。
「……うっ……」
だが、小雪はその場にしゃがみこむ。
あわてた三太夫が駆け寄るがただの飲み過ぎ立ったようで、三太夫が小雪を抱えて、雪の国行きの船に向かった。
私達は船にのると、各部屋を割り当てられた。
小さな部屋だが、一人一部屋だったことに私は、ほっとした。
私は、部屋を出ると、船の甲板へ出た。
夜と言うことで辺りはくらい。
すでに私以外は寝ているのか、辺りはしんとして、波の音だけがしていた。
『…土の匂いひろう……春はまだ青く、君と集め出す夢が早足になる…………』
私は、久しぶりに歌いたくなり、一人なのを確認すると歌い出した。
『……はぁ……』
一曲ではもの足りず、三曲目を歌って私は、一息ついた。