第36章 綱手姫
どれくらい経っただろうか……。
ようやく病室のドアが開いてカカシが俺たちに入って来るよう目で示す。
「流!」
さっそくナルトが病室に駆け込んで行く。
俺とサクラもそれに続いた。
ベッドには男の姿に戻った流が体を起こしていた。
「……流!目が覚めたか?」
ナルトが騒ぎなが流の回りをうろうろする。
「……あぁ。ナルトが綱手様を連れてきてくれたんだろ?
……ありがとな。」
流はそう言ってにこりと笑う。
「へへっ……」
ナルトは照れたように笑って頬を掻いた。
何故かそれを見ていた俺はイラついた。
前に、メンマと流が一緒にいたときと同じ感覚だ。
……つまり、嫉妬だった。
だが、前回は流が男だと思っていたが今度は流が女だと知った上での嫉妬だった。
(……まさか…………俺は流に特別な感情を持っているってのか?)
俺は流に引かれている自分を認めたくなかった。
(……俺はイタチに復讐するんだ!そのためには憎しみ以外の感情なんて邪魔なだけだ……!)
俺はこの感情がはっきりと形を持つ前に蓋をした。