第31章 中忍試験~二次試験~
「サクラ、ナルトたちの様子は?」
俺はトラップを仕掛けて三人の元に戻るとサクラに尋ねた。
「……流の呼吸は落ち着いてきたけど、まだ二人とも目を覚まさないの……
流にかかった術もそのままだし……」
サクラは心配そうに二人を見る。
ナルトは顔を歪めたまま眠っていて、流もその隣で苦しそうに息をしていた。
流の俺と同じ位だった身長は一回り縮み、今はナルトと同じ位まで小さくなっていた。
もしかすると、ナルトよりも小さいかも知れない。
そのせいか、とても弱々しく見えて、俺の不安を強くした。
「サクラ、取り敢えず交代で見張りをする。お前は先に休んでおけ。」
俺はそう言うとその場に腰を下ろした。
「で、でもっ!」
サクラはおろおろしながらそう言ってくる。
「いつ敵が来るか分からない。
今は俺たちしかコイツらを守れないんだ!
今のうちに体力を回復しておけ。」
俺がそう言うとサクラがしぶしぶ頷いた。
しばらくすると、サクラから寝息が聞こえてきた。
相変わらずナルトは目を覚まさず、流はうなされている。
(ほんとルミにそっくりだ。
術をかけられたと言っていたが本当にそうなのか?)
俺は、疲れているせいか、あり得ない事を考えはじめていた。
それは、流が、本当は六年前に死んだ、うちはルミではないかと言う事だった。
(そんなことあるわけないのにな……
ルミはアイツに、父親と一緒に殺されたんだ!)
俺は、心中に見せかけて殺されたうちはシスイとルミ、そして犯人のイタチを思い出して唇を噛んだ。
(もし、アイツが生きていたら、俺も一人じゃなくなるのにな。)
俺はそんなことを考えて首を振った。
「何を考えているんだ!俺は!!」
(俺は、復讐者だ!)
甘い考えをした自分を憎々しく思いながら、俺は流から視線を反らした。
俺は暗くなり始めた森を睨み付けていた。