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【ジョジョ】ぶどうヶ丘高校の恋愛事情【短編集】

第2章 虹村億泰の恋愛事情


東方仗助君に礼を言い、2人で屋上を出ようすると、扉がギィと音を立てて勝手に開いた。

「おぅ仗助ェ!オメェやっぱりここに...」

億泰君だった。彼の目が私を捉え、その顔から笑顔が消える。

「わりィ、邪魔したな仗助」

先ほどとは打って変わって抑揚のない声でそう告げると、億泰君は階段を駆け下りて行った。

「おい、やべぇぞ?あいつアホだから勘違いしてるんじゃねぇか?」

勘違い?まさか、私が東方仗助君に告白をしているとかそういう勘違い?

まずい、まずいから早く追い掛けなくては。

でも、億泰君は見つからなかった。

教室にも、カバンはあるのにいない。

昇降口も確認したけど靴はあった。

でも、校内にいるはずなのに、見当たらない。

空き教室、集会室、生徒指導室、視聴覚室、実験室、どこにもいない。

各階を東方仗助君と駆けずり回ったけど、どこにもいない。

昼休みはあと10分。

もしかしたらもう私に笑顔を向けてくれる事は無くなるかもしれない。

同じクラスにいるのに、1番遠い存在になってしまうかもしれない。

それは振られても同じだけど、まだ何も伝えてないのにそうなるなんて絶対に嫌だ。

「あのバカ、どこにもいねぇっすよ」

東方仗助君が向かいの廊下から駆けてきた。

もう探してないところはない。どこに行ったのだろう?

「あ...資料室ってまだ見てないよね?」

一階の階段の裏にある、小さな小部屋のような物置。あそこはまだ見ていなかったはずだ。

「そういえばそうっすね!んじゃあ、俺はもっかいあっちの方見てくるんでアンタは資料室見てきてくれ!」

そして、私は資料室の前に居た。はたして、億泰君はそこにいた。

体育座りをして小さくなっていた。

「!...お前何してんだよ」

腕の中にうずめた顔を少し出して私を見るなり億泰君はそう言った。

「仗助んとこ行かねぇのかよ」

「もう話は終わりましたから」

「そうかよ...んでどうだったよ」

「何がです?」

「振られたかどうかにきまってんだろうがよ」

やっぱり勘違いしてた。

「私はそんな話はしてませんよ」

そこで億泰君は顔を上げると心底驚いた顔をして、はぁ!?と声を上げた。

「じゃあ何の話してたんだよッ!?」

問には答えず、私は意を決して口を開いた。

「貴方が好きです」


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