第2章 昔馴染
「えっと、おや、つ?」
「おやつ? 貴様、今朝の事を反省していないようだな」
「う……」
「四席ともあろう者が隊務をサボって他隊の者とお茶など言語道断! 何を考えているんだ!?」
耳元へガーッとまるで虚の雄叫びのような鋭い怒鳴り声が打ち込まれる。痛い、流石に鼓膜が痛い。
「べ、別にサボってなんか……出ていけって言ったのはお前じゃんか!!」
「だからとすごすご出ていく奴があるか!?」
「だって出てかなきゃ出てかないでお前くどくどネチネチ嫌味言うじゃねーかよ!? うっぜーんだよそーゆうの!」
「うぜ……っ?」
「つかてめぇはオンナノコの胸ぐら掴むなんざどう言う躾されてやがんだ? 放せ!」
ガッと勢い任せに掴まれた胸ぐら。しかもちょい上に持ち上げられて。流石に頭二個ぶん身長差があるとキツいんですけど。てか胸ぐらだぞ胸ぐら! 小さいけどお山だって二個ついてんだぞ助平!!
「やかましいわ! 今日という今日こそは容赦せんからな。来い!」
「はぁ? ちょっ、おいコラ!」
胸ぐらを掴んだまま歩き出すもんだから、俺はまるで荷物のように足下をズルズルと擦る形で歩く。修兵は修兵で突然現れた仁之心に呆気にとられ固まってしまい、助けを求めようにも無理で。
最終諦めた俺は「ごめんなー」と幼馴染みに手を振りながら、仁之心のなすがままに身を委ねる事にしたのだ━━。