第10章 夏と、ラムネと、やっぱりわんこ。 R18
途中空いていたベンチで買ったものを食べ、(リエーフは買ったものを私にちょっとずつくれた以外全部食べた。)一休みしていると、聞こえてくるドンという重低音と夜空に輝く大輪の花。
「お、始まったか花火。」
そう、やっくんが呟くとリエーフがたーまやーと花火を煽った。
綺麗だと見惚れていると、ベンチに座っている私をリエーフが立たせた。
『…?リエーフ?』
「俺、さっき買えなかったラムネ買いたいんで美優さんついてきてくれませんか?」
ラムネ…
さっき大量の人が列をなしていたからリエーフが泣く泣く諦めたもの。
しょうがないか、とクロに説明し、私とリエーフは一度ベンチを離れた。
ーーーーーー
からん、ころんと下駄の音が鳴る。
暑さのせいで繋いだ手がじっとりと汗ばんでいる。
なんだろう。
この違和感。
手を繋いだ時はいつも、私の歩幅に合わせて歩いてくれるんだけど、今日はいつも以上に慎重な歩き方。
どうしたんだろうと思った矢先、リエーフはすい、と屋台のテントに吸い込まれた。
目的のラムネのお店。
そこで買ったのはラムネ2本、と水。
それらをいれてもらった袋をリエーフが腕にかけるとかららんと瓶同士がぶつかる音がした。
「さてと、美優さん。」
え、と思った矢先、私の体はリエーフに抱きかかえられていた。
『なにっ!リエー「足、痛いんでしょう?鼻緒が擦れて。」
どきり、と心臓が鳴った。
なるべく気づかれないように歩いていたのだけれど、リエーフにはお見通しだったようだ。
リエーフの腕から抜け出そうとしても絶対降ろさせてはもらえないようで、がっちりホールドされてしまった。
「足洗って絆創膏貼りましょう?行きますよ?」
そう、リエーフは私に言うとみんなが待っているところとは別の方向へと歩き出した。