第13章 修行の成果! R18
side黒尾
あの後スーパーに行き、莉奈は様々な食材を買った。
多分美優に作り方を教わったんだろうな。
手元のメモが美優の字だから。
ぽんぽんとメモに書いてある食材をカゴに入れていく莉奈。
たまにうちの冷蔵庫にあるものを言えば素直に棚に戻していく。
さて、何を作ってくれるのか楽しみだ。
ーーーーーー
家に帰ると、俺は「台所にこないように」ときつく言われた。
料理を作っている莉奈を見たい気持ちはあったけれど、それで手元を狂わせて怪我でもされたらたまらない。
莉奈が料理をしている間にやらなければいけないことを終わらせていれば、包丁で野菜を切る音、シンクにお湯を捨てると鳴るべこんと言う音、飯の炊ける音、何かがぐつぐつ煮える音、洗い物の音など様々な音が聞こえてくる。
そしてふわり、とうまそうな匂いが台所から漂ってきた。
そろそろか…?
飯を食う準備をしようとベッドの下からテーブルを引き出していると、台所につながる扉がきいと開いた。
「てつろーさん…煮物入れられるお皿ってある?」
鉢の場所を教えようと立ち上がり台所へ行けば、数ヶ月前に目玉焼きを焦がした腕の持ち主とは思えないくらい出来栄えの良いおかずが台所に並んでいた。
「これ、お前が作ったんだよ…な。」
そう問えば、莉奈は目線を彷徨わせる。
「そう…ですけど…」
美優に習いに行ってるのは知ってたけれど、ここまで作れるようになってるのか…
すげえな。
なんて感心をしていれば、煮物の器を出して欲しいと突かれたからシンク下のスペースから出してやる。
器を受け取った莉奈は「もうちょっと待っててください」と、再び俺を台所から追い出した。
どれくらい練習したんだろうな、あの飯。
嬉しくて緩む口元を手のひらで隠しながら、俺は莉奈の料理を待った。