第13章 修行の成果! R18
side黒尾
出てきた料理は、きのこご飯、さんま、肉じゃが、葉野菜のおひたし、お吸い物。
美味い。
普通に美味い。
いやマジで。
黙々と食っていると、遠慮がちの小さな声で莉奈が俺を呼ぶ。
「てつろーさん、美味しい…?」
自信ねーんだろうな。
ちょっと前まで何も作れなかったから。
「うん、美味えよ?」
そう答えれば、不安そうだった表情がぱああと明るくなる。
細かいことを言えば、おひたしはもう少し早めにお湯を切った方が葉がシャキシャキだし、肉じゃがはもう少し弱火で煮つめれば中心まで味が染みたのにな、とかは思うけれどそんなのはゆっくり覚えて行けばいい。
「頑張ったな。」
そう伝えれば莉奈は前のめりに話し始めた。
「あのね?美優さんに頼んだら私でもできる簡単なレシピ作ってくれたの!
それ以外にも買い物一緒に行ってくれたりつきっきりで料理教えてくれたり!」
相槌を打ちつつ話を聞けば、教えてもらった鮮度の見分け方だったり、美優につきっきりで料理を教えてもらった時にリエーフが拗ねた話だったりを楽しそうに教えてくれた。
教えてくれたんだけどさ、話、長くね?
莉奈が楽しそうにしているのは俺も楽しい。
けどな?
それを話すのは今日じゃなくてもよくねーか?
それでね?と話を進めようとした莉奈。
言いだす前に立ち上がると莉奈は不思議そうな顔をする。
隣に移動しすとんと座ると、そのまま横になり莉奈の膝に頭を置いた。
「っ!てつろーさんっ⁈」
「莉奈チャンに質問デス。
今日は何の日でしょう?」
慌てる莉奈にわざとらしく問えば、莉奈は顔を真っ赤に染め小さくぽそり、”てつろーさんの誕生日”と呟く。
俺はごろり、と反対側…莉奈の体の方を向き、薄い腹に顔を埋め「正解」と答えた。
そして少しだけ目線を上の方に向け、戸惑っていた莉奈に目線を絡めた。
「誕生日、祝ってくれねーの?」
そう、莉奈にだけ聞こえるような小さな声で呟けば、莉奈はこれ以上の赤さは出ねえんじゃねーかってくらい真っ赤な顔で、こくり、と頷いた。