第12章 灰羽リエーフの1日 2017
PM11:15
ぎゅっと抱きついた美優さんの頭をそっと撫でると、美優さんは俺の手にすり寄って来る。
「美優さん」
名前を呼べば、俺の頬にす、と両手を這わす。
『何?リエーフ。』
「キス、美優さんからして?」
そうねだれば、美優さんは俺の頬に手を添えたまま優しく唇を重ねた。
「もっと」
少しだけ離れた唇でねだれば、くすり、小さな笑い声とともにまた唇が重なった。
啄むように何度もなんども唇を吸われている間、俺は束ねられた美優さんの髪の毛を解く。
ぱさり、美優さんの背中に落ちる髪の毛。
俺と出会ってからずっと伸ばしている髪の毛は、腰を超えてもうお尻を隠すくらいになっている。
俺との約束のために伸ばし続けている髪の毛。
それを梳くように何度も撫でた。
ちろりと美優さんの舌が俺の唇をなぞったのがわかる。
その合図とともにゆるく唇を開くと、美優さんの舌が俺の口の中へと進入してきた。
少し遠慮がちなキス。
最初の時よりは上手くなったけれどまだまだたどたどしいキスが可愛くて、でも物足りなくて、俺は美優さんの腰を抱き直し深く唇を重ねた。