第12章 灰羽リエーフの1日 2017
「いつも言ってますけど。」
ぽそり、と言葉を吐くと下を向いていた美優さんの目線が俺を向く。
「怒ってるわけじゃないんです。ただ心配なんです。
美優さんは放っておくとすぐ食事忘れるから。」
高2の合宿の時なんか”10秒チャージ”などの栄養補助食品ばかりに頼って1週間まともな飯食べてなかったことがあったから…
(あいつは音駒のわんこ系少年 そのにっ! 第12章)
『あの時は…「レポートがあったから。」
美優さんの声に被せるように出た言葉。
わかってる。
美優さんは食事の大切さをちゃんとわかってる人。
けど…
「心配なんです。俺が。」
そっと伸ばした手を俯く美優さんの頭にのせる。
「俺が”無理して欲しくない”、そう思ってるだけなんです。」
パンケーキのダブルとフレンチトースト、ブレンドコーヒー2つ、お待たせいたしました。
店員さんが持って来てくれたパンケーキとフレンチトースト。
それを切り分け取り分け用の皿に片方がが少なくなるように盛り付けると量が少ない方を美優さんに差し出す。
「残ったら食べます。だから食べられるだけ食べてください。」
こくり、頷いた美優さん。
いただきます、というとナイフとフォークを持ち、パンケーキをぱくりと一口頬張った。