第12章 灰羽リエーフの1日 2017
PM1:03
大学で昼飯を食べているとき、不意になったスマホ。
見ればメッセージアプリが1件。
美優さんからのメッセージだと気付いた俺は急いで画面をタップした。
”今日、リエーフの学校の近くに行くから一緒に帰ろう?”
美優さん近くに来るんだ!
嬉しくなって口元が緩むのが止められない。
一緒に昼食を食べていた友達にも「ニヤニヤしてんじゃねーよ。また”みゆさん”か?」なんて言われるし。
でもさ、やっぱり嬉しいじゃん?
好きな人が迎えにきてくれるなんてさ。
高校の頃は一緒に帰れたけれど、俺が大学に入ってからは降りる駅が違うし、お互いバイトもしてるから朝一緒に駅まで向かうことはあっても帰る時間が一緒なのは珍しい。
だからこそ嬉しいんだ。
にやにやが止まらない俺を置いて先に行ってしまった友達。
去り際に次は演習だって忘れんなよって言われたのを思い出し時計を見れば次の授業開始の時刻まで20分を切っている。
演習ってことは演習着に着替えて道具持って演習室に入らなきゃならないから…
やばい!時間がない!
目の前にある、冷め始めたラーメンとチャーハン。
それらを急いでかっ込むと食器返却口に食器を返し更衣室へと走る。
更衣室に向かう道すがら、俺はポケットからスマホを取り出しメッセージアプリの美優さんのページを開くと、”OK”と”楽しみ”の意味のスタンプを急いで送ると俺は更衣室の扉を開いたのだった。