第11章 夏と、浴衣と、猫たちの暴走。 R18
side莉奈
みんなにメッセージアプリで先に帰宅することを伝え、私とてつろーさんはてつろーさんのマンションに帰ってきた。
「お邪魔します…」
からころ。
脱げた下駄が軽やかな音を奏で玄関に落ちる。
今からする。
それがわかっているからこそ玄関から部屋までの廊下がやけに長く感じる。
そんな私の背中をぐいと押し、部屋へと連れて行くてつろーさん。
「あ、あのっ!」
「ん?どうした?」
部屋まで連れていかれ、すぐにぽふり、とベッドに座らされる。
す、と足を持ち上げられ、履いていたレースの靴下をするりと脱がされる。
片方脱がされるともう片方。
「てつろーさん…?」
「ん?」
外からの月明かりで照らされたてつろーさんが格好良い。
髪飾りとリボンを外され、そのままベッドに倒される。
「なんかもったいねーな。脱がすの。」
ふわりと頬に手を添えられさらりと頭を撫でられる。
それが気持ちよくてその手にすり寄れば、てつろーさんがくすり、笑った。
「猫みてぇ。」
冗談まじりににゃんと鳴けば、てつろーさんはくくっと笑う。
「もっと触って?てつろーさんの手、気持ちいい。」
そうねだると、てつろーさんは小さく了解と呟き頬を、肩を、割れた裾から覗く太腿をそっと撫でる。
てつろーさんは優しい。
でも、足りないよ。
私、てつろーさんに変えられちゃった。
何も知らなかった私はもういないの。
だから…
「てつろーさん?」
名前を呼ぶと私の瞳を見つめるてつろーさん。
そんなてつろーさんに私は、
唇に噛み付く勢いでキスをした。