第11章 其ノ拾
裏庭へと出て行くとすぐに二人の剣が合わさる音がして二人の舞う姿が見えてきた。
二『え…。 真剣? しかも…潤が持っ
ているのは父上の…』
真田の家紋の入った、父上でも出しているのを見たのは、一度だけだ。
そんな大切な剣を出して貰えている
松本の信頼度に感心しながらも、
すぐに別のところへと視線はもっていかれてしまった。
二『…兄上。』
翔の肩から降りた、智の手は指は
父上からは見えない背中側で、優しくそっと絡ませるようにして握られた。
相『和也様…… 大丈夫ですか…』
二『…ああ…。 大丈夫だ』
そう答えながら
言葉とは裏腹に、現実を見せられてしまうともう、さっきの決意など消え去ってしまったかのように、腹の中で何か煮えたぎる…そんな思いが込み上げてくるのだ。