第1章 *どうしてこうなった。
「久しぶり、だな、」
「…先輩も」
「元気してた?」
「はい…」
「えっと…友達?」
「え、あ、まあ…そんな、感じです」
先輩は、笑う。少し寂しそうに。
「…もし俺が今でものこと好きって言ったらどうする?」
「え…?」
「…俺さ、すぐそこのアパートに引っ越したんだ」
…ちょ、ちょっと待ってよ。
すぐそこのアパート、って…この周辺にあるアパートって、1軒しか思いつかないんだけど…
「…おこがましいかもだけど。
これ、俺の連絡先。
…良かったら、連絡して」
レシートと4円と共に、サラサラと書かれた連絡先を渡される。
はい、としか言えなかった。
私の頭の中は、ただ…あることでいっぱいだったから。
…バレて、しまった。
その一言で、いっぱいになっていたんだ。
「……帰るよ」
「え、う、わっ…!?り、リヒト…!?」
ありがとうございました、の言葉は聞こえなかった。
リヒトに引っ張られるがまま外に出た私は、外に出てもなおぐんぐんと引っ張られ続けた。
どうしよう。どうしようどうしよう。
…なんて、説明すればいい?