第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

部長は一瞬
目を見開いた後
溜息を吐き

「まぁ…今までの君達の
仕事ぶりを見てたら
別に社則違反だからって
処分しようとは思わないんだけど…」

と、言葉を詰まらせた

『え？そうなんですか？
いや…スイマセン…
隠してたら良い事なのに
大っぴらにしてしまって…』

てっきり叱られると思ってただけに
逆に恐縮してしまう私に

「隠してて貰った方が
会社としても良いのは間違いないけど
本人同士が決めて
発表するなら
攻められないし
それは良いとして…」

優しくフォローを入れた後
また気まずそうに口を噤む

『なんでしょう？』

「いや…結婚を前提に付き合ってるなら
俺の勘違いだろう…」

”すまない”と言って
話を終わろうとする部長を

『気になるじゃないですか
なんですか？』

引き止める

どんな内容だとしても鉄朗が
絡んでるんだろうし
気にならないわけがない

「え…でも…
気持ち良い話じゃないかと…」

『気になったまんまの方が
気持ちよくないです』