白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
『鉄朗…』
もっと、深いの…欲しい、よ
そう強請ろうと
薄く開いた瞳に
鉄朗の泣きそうな顔が映る
なんで?
なんでそんな顔してるの?
思わず大きく見開いた目
そこには
「うわっ!イキナリ覚醒って!
照れるからやめてクダサイ!」
いつも通り笑う鉄朗の顔
さっきのは見間違え?
でも、確かに
泣きそうな顔してた…よね?
『鉄朗…何かあった?
トラブル??』
少し距離を置き
静かに話し掛けると
「…なーんもないですぅ!
つーか、トラブった相手接待して
運転手付きの高級車で送る
奇特やつなんか居ないでしょうよ
姫凪は心配すんなって
てゆっか逃げんなよ
もっと、ギュッてして…」
豪快に笑って
私を強く抱き寄せる
やっぱり何かヘン
何か隠してるよね、コレ。
仕事先とのトラブルなら
私の出る幕はないし
帰って来てまで
仕事の話したくないだけなのかも
知れないけど
なんだかソワソワする…