第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

チラチラ届く視線を
振り切る様に
更衣室に走り
大きく深呼吸を繰り返す

「…大丈夫？」

『あ、はい…いいえ…』

別の班の女の子に
声をかけられ
慌てて顔を上げて応えると

「…えっと
もしかして、だけど
黒尾さんと付き合ってる、の？」

気持ち抑えた声で
私に耳打って来るその子

『え！？
…あ、いや…』

咄嗟にいつもの癖で"違う"と
言いそうになって
グッと声を飲み込み

『うん、そう…なの』

コクリと首を縦に振る

言った！言っちゃった！
初めて誤魔化さずに応えた事に
耳まで熱くなる

「まじ！？
うっそー！いつから！？
良いなぁ！！
…って、うち社内恋愛禁止じゃないっけ？
大丈夫なの？」

はしゃぎつつも
心配そうに私を見る目に

『…良くないとは思うけど…
その、結婚…考えてるっていうか
…な、何言ってんだろうね！
忘れてね！
あの、支度して仕事行くね！』

ついつい惚気て赤面してしまう