白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
「聞いてる?
なァ?姫凪…」
声を落とす耳元
コクリと振られた首
「一緒に戻ろう?」
深読み出来そうな言葉に
"うん"と返ってくる声
このまま抱き締めていたいけど
「お会計…よろしいですか?」
現実などこまで行っても
現実で
「すいません。
一緒で」
甘い時間へとは
流れ込んではくれない
店の外へ出てからも
俺と姫凪の間には
少しの距離
とりあえずで交わす会話に
緊張した表情のまま
笑う姫凪
やっぱり
あの頃のまんまじゃ、ねぇよな
仕方ねぇけど…
上がりまくってたテンションは
ユックリ通常へ
そこからジリジリと
低空飛行を続けながら
会社へ俺らを運んだ
『お手洗い寄ってから戻るね』
「そっか、分かった。
じゃあ、また後で」
エントランスを抜けて
別々の場所へ向かう姫凪の
背中が遠くなる
別に居なくなるわけじゃない
すぐに部屋で会えるし
夜には二人で飯だって…
そうだよ!二人だぞ?!