第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ

拗ねた顔から一変して
明るく笑った姫凪が
クッキーの箱を棚から取り出し
俺に押し付け背を向ける

「おい、姫凪…！」

分かんねぇよ、俺。
お前の気持ちが。

変わってないなら
そう言ってくれ

俺から求めて
傷付いて
傷付けては
もう嫌なんだ。

なぁ？
お前の気持ちは
今、どこにあるんだ？

『待たせちゃ、駄目だよ
せっかく来てくれたんだから』

「姫凪…」

『…おめでとう。
前に進んだんだね
私も、頑張る…』

「そうだな
お菓子出してくれてサンキュな
後で資料整理手伝うから
あんまり頑張り過ぎんな
また倒れんぞー」

"おめでとう"
それがホンネ？
それが…応えなのか？

『平気だって。
もう…大丈夫』

"もう大丈夫"は
オイカーくんが居るから？
なんて深読みしすぎて

「そっか、分かった。
すぐ仕事戻るから
無理すんな」

向けた背中

なんて呆気ない終わりなんだろうな
涙も出やしねぇ…な。