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君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】

第11章 兎丸の場合


長いトンネルを抜けると、途端に窓の向こうが眩しくなった。
「海だー!」
「きれーい!」
窓から見える一面の青に、2人して小学生みたいにはしゃぐ。
同じ車両にいるおじいさんにくすくす笑われて、僕達は口をつぐんで少し姿勢を正した。
「あたしここの海は初めて。」
「そうなの?僕は毎年ここに来るんだ。」
でも今年は、夏の大会で来られなかったから。
「○○ちゃんと来れて本当に嬉しいよ!」
○○ちゃんは、おじいさんに笑われた時以上に顔を赤くしちゃった。
「・・・実はあたしも嬉しかったりして。」
やっぱり僕は○○ちゃんの照れた顔が一番好きだ。
それはつまり、喜んでくれてるってことだから。



「えーまもなくー・・・。」
次の駅が近付いた事を告げるアナウンスが流れた。
「ここで降りるよ。」
「うん。」
カバンを持って出入り口へと向かう。
出入り口すぐ横のおじいさんと目が合った。
「楽しんでおいで。」
ふにゃっと笑われて、僕達も顔を見合わせて笑った。
「いってきまーす!」
扉が開いて、僕達は飛び出すようにホームに降り立つ。
「○○ちゃん急いで!」
「わぁー!そのバス待ってー!」
視線の端で、おじいさんが窓から手を振ってくれてるのが見えた気がした。
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