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君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】

第11章 兎丸の場合


人もまばらな鈍行列車に並んで揺られる。
窓の向こうは青空が広がっていて、僕は「今すごく青春してる!」って勝手に浮かれていた。
「ねぇ比乃君、ホントにいいの?」
○○ちゃんは眉を八の字にして僕を覗き込む。
ホント○○ちゃん、真面目だなぁ。もうとっくに電車に乗ったってのに。
「いいのいいの!ちょっとぐらいサボったって大丈夫だって!」
僕が笑い飛ばすと、○○ちゃんはちょっと考え込んだ後、ふっ切れた笑顔を浮かべた。
「サボるの初めて。罪悪感もあるけどさ、なんかわくわくしちゃう!」
途端に子供みたいになった○○ちゃんに僕は満足して、電車の座席に座り直して足を伸ばした。




昨晩のこと。
日付も変わって、ハッピーバースデーの歌を歌ってあげて、2人ではにかんで。
さて、どこに行こうかという話になった。
「季節外れの海に行こう!」
僕の提案に○○ちゃんは「いいねー!」ってはしゃいで、でもすぐ「ん?」って疑問の声をあげた。
「ここから一番近い海ってどれくらいかかる?」
「電車で2時間くらいかなー?」
「放課後から行ってたら日が暮れちゃうじゃん!真っ暗になるよ!それに着いたらすぐ帰らなきゃ!」
真面目な○○ちゃんの辞書には門限破りという言葉は無いらしい。
ちぇーっ。どうせなら僕の家にお泊まりしてほしかったのにな。
「海はちょっと無理じゃない?」
しょぼくれる○○ちゃんの声に、僕はにやりと笑みを浮かべる。
「大丈夫だって。昼休みからサボっちゃえばいいんだよ。」
「えぇー!?」
ちょっと嫌がる○○ちゃんをなだめすかして、僕は2人でエスケープすることに成功した。
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