第1章 新生活の幕開け
ー教室ー
「あ、鶴子〜!おかえり〜。どう?おしるこ買えた?」
おしるこをなんとか買う事ができ、よたよたと教室に戻れば香織が話しかけてくれた。
「あぁ、うん、なんとかね。」
香織と同じ机に椅子だけ持ってきて真正面に座る。
てきぱきとお弁当の準備をし終わった後にどん、と勢いよく机の上におしるこを置いた。
「さて、実食!」
プシュッといい音とともにおしるこのいい香りが漂ってくる。
秀徳の購買のおしるこを飲むのはこれが初めてなので、計り知れない味に期待が膨らむ。
ごくん
一口飲むと、おしるこ独特の甘さ、トロトロとした小豆、公園の砂場の砂利を食べてるような感覚が…
「まず!ゲロまず!!やばい!!!お菓子作りした後のボウルを洗ったスポンジの味がする!!!」
「え!?なんて!?」
香織に驚かれつつ、それ以上におしるこのまずさに驚いた。
何をどうしたらこんなまずさに仕立て上げられるのか。
う…あの時あの男の人に譲っておけば良かったかも………
そう思って、おしるこの缶を机の上に置いた途端に、
ガラッと、勢いよく教室の扉が空いたと共に、
「ごめん真ちゃん、おしるこ無かったわー!」
という声が響いた。
そう、それは、購買の男の人だったのだ。