Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第38章 ☆世界一、君が好き。《及川 徹》
【蒼井 side】
"じゃあ、いってきます"
"うん。いってらっしゃい"
そう、言葉を交わして彼を見送ったのは、もう随分前に感じる。毎日毎日、カレンダーの日付に1つずつ×を付ける。あと、5ヶ月。
『あー5ヶ月とか長いよっ!』
「「「うるせぇ!」」」
机に突っ伏する私に飛ぶ怒声。"うるせぇ"という声の主は、彼氏である及川徹を通し、高校時代に知り合った、岩泉と花巻と松川。
そして、私は、なぜか"花巻誕生日おめでとうパーティーin焼肉屋"に参加している。
『うぅぅぅ…徹が遠いよおぉぉぉ…』
「ホラ肉だ、食え。んで太れ」
そう言って手際よく肉を焼くのは、岩泉。その側で肉をつつくのが花巻。私の隣でビールをあおっているのが松川。むっさい男子に囲まれた私は、ちびちびとワインを飲む。
『だってさぁ。ひどいじゃんか。こんなビジンな彼女を置いてどこぞへ行くなんてさ』
「おーおー、不貞腐れてやらぁ」
『花巻のばぁか。だから彼女いないんだよ』
「うっわコイツめ。今日、俺、誕生日~」
「俺は蒼井の気持ちも分かるけどな」
すっかり酔い、いじけモードに入った私を宥めるのは、松川だった。
「だって会えないんだぜ?しかもちょっとやそっとじゃない。5ヶ月って、長ぇよ」
『そぉ。そぉなんですよ、松川さん!』
「しかも相手は及川ときた」
『そぉなの!心配で気になって夜も眠れないんですよぉ。徹、イケメンなんだもん』
ぐびーとワインを飲み干す。空になったグラスに、松川がすかさず赤ワインを追加。
『はあぁぁぁ、徹うぅぅぅっ、もう!今日はとことん食べてやるんだからねぇ!』
言うが早い、岩泉がせっせと焼いた肉をかっ拐い、お皿に投入。どばっと焼き肉のタレをぶっかけて、白飯と一緒に口に放った。うぅん、美味しさが、肉汁が染みるよぉ…
『ホルモンおいひぃ。カルビもおいひぃ…うえ、えぇん、とおるうぅぅ…ひっく、ぐす』
えぐえぐと泣きながら、肉を頬張る。美味しいのに、美味しくないよ。そんな私をよそに、男子3人はヒソヒソ話していた。
「チッ、アイツ肉盗りやがった…」
「おい、誰が送るんだよ!?」
「俺まだ死にたくねぇけど?」
『うえぇぇぇんっ、とおるうぅぅぅ…』