Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第27章 ☆両想いの彼らの事情《山口 忠》
【蒼井 side】
とある世界のとある場所。
そこには青春を謳歌する
少年少女がおりました。
やがて少年と少女は互いの想いを伝え
晴れて結ばれることとなりました。
これは鈍感な少年少女の
甘酸っぱくももどかしいような
そんな恋のお話です。
春高の一次予選を無事突破し、代表決定戦に向けて猛練習をしている今日この頃。
烏野高校排球部は今日も元気です!
キュキュッとシューズが床を滑る音、明るい掛け声、それからボールの弾む音でいっぱいの体育館。
マネージャーになってから2ヶ月。ようやく仕事にも慣れてきて、仁花ちゃんや潔子さんとも仲良くなってすっごく楽しい。
それから、忠く…山口君も…///
付き合い始めて1ヶ月とちょっと。手を繋いだりデートに行ったり、帰り際にキスをしたりとカレカノらしくなってきました。
普段は恥ずかしいからって名字だけど、2人の時だけは名前で呼ぶ。それがくすぐったいけど嬉しくて…
はっ、今は部活中!雑念を振り払うように頭をぶんぶんと振る。それから隣の仁花ちゃんの肩をとんと叩いた。
『ひーとかちゃん、そろそろ行こっか』
「あ、そうだね!」
今日は潔子さんはお休み。だから1年の私たちが頑張らなくちゃ。そう思ってドリンクの入ったカゴを運ぶ。
『お疲れさまでーす、どうぞ!』
「タオルもありまーす!」
汗だくの部員たちにドリンクとタオルを次々に渡す。いつも通り山口君に渡そうとすると、彼は仁花ちゃんから受け取っていた。あれ、タイミング合わなかった。
ま、偶然だし別に良いかな。そう思ったものの、胸中には不安が残った。なんだろう、モヤモヤした、変な感じ。
それはすぐに現実となった。
『ねぇ、山口君…』
「あ、日向、ちょっといい?」
『あの、山口君』
「ねぇねぇツッキー」
『…山口く』
「あの、大地さん」
まるで、偶然とは思えない。私が話し掛けようとする度に、山口君はわざとらしく他の人に話し掛ける。
もしかして、昨日ので幻滅したとか…
胸の不安は、増すばかりだった。