Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第26章 ★"ツン"と"デレ"《木兎 光太郎》
~オマケの1コマ~
【NO side】
時計は8時半。その表示を無表情で眺め、遅いと赤葦は思う。8時から朝練だと告げたはずなのに、うちのエースはどうしてこうも時間にルーズなのか。
心配なのは、へっぽこエースよりも、マネージャーの蒼井。休む時は必ず連絡をくれる彼女がいっこうに来ない。
「はぁ…とりあえず着替えて待ちましょう」
待ちくたびれる木葉や小見はのろのろと立ち上がると、部室に入った。それから部員たちはロッカーを開け、着替え始める。
「…にしても、木兎さん遅いスね」
「でもなー、今に始まったことじゃねーし」
「そーそー!」
「そんなもんスか…」
そうこうしていると、ドタバタと喧しい足音が近付いてくる。バンッとドアを乱暴に開けて入ってきたのは、木兎、その人だった。
「すまん、悪い、寝坊した!」
「「「おせーよ!!!」」」
全員からの叱責を受けながらも、木兎はいそいそと着替えを始める。
「だって目覚まし鳴らなかったんだもん」
「だもん、じゃないですよね、木兎さん」
「すいませんでしたあぁぁぁあ!!!」
恐ろしき赤葦の迫力。こえぇ…と思いながら木葉が振り返ると、ふと木兎の背中に目が留まった。それからニヤリと笑うと、隣の小見にこしょこしょと話す。2人で、ニヤリ。
「なー木兎」
「ん?」
「「背中のそれ、どーしたの?」」
ニヤニヤしながら訊く木葉と小見。背中?と思いながら木兎がそこを手でさする。
「別に何も………あーっ!?」
「うるさいです、木兎さん」
顔をしかめる赤葦。木兎はというと、わたわたと弁解を謀る。
「違うっ、これは、その、あの…」
「なぁるほどねぇ」
「猛禽類サンはお盛んですなぁ」
ニヤニヤすることをやめない2人に木兎はたじたじである。それを見てなんとなく察した赤葦はこう言った。
「まぁ、人の色恋にあれこれ言うつもりはありませんけど…蒼井さんに負担は掛けないようにしてくださいね」
「おう、あかーし!」
蒼井とシたことを認めているのに気付かないのか、木兎さっさと着替えて出ていってしまった。残された部員たちはというと…
「蒼井に、なんか同情する…」
「木兎さんもバカですねぇ…」
「なんか、悲しい…」
今度こそEND.