Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第21章 誕生日と彼女《金田一 勇太郎》
【蒼井 side】
5月もゴールデンウィークを過ぎ、じわりじわりと気温が上がり出す最近。わたし、蒼井海宙は昼休みに机に突っ伏して悩み果てています。
相談しようと、前の席で頬杖を突いてうつらうつらしている英に声を掛ける。
『どうしよ…英っ!』
「ナニ…今お昼寝タイムなんだけど…」
『もぉ、授業中だって眠そうなクセにぃ!』
目の前で怠そうにする、いとこ。その背中を恨めしそうに睨み、後ろからイスをげしげしと蹴る。がつ、がつ、がっ…足、痛いや。
相手にもしてくれないので、前の席に回り込み、つむじをつんとつっつく。
『ねぇ、高校生男子って誕生日に何貰ったら嬉しいのかなぁ…?』
「俺の誕生日は過ぎたよ?」
『ちっがーう!勇くんの!』
「金田一かよ、リア充かよ」
『リア充ゆーなし!』
そう。悩み事とは正にそれ。あと1ヶ月もしたら彼氏である勇くん(金田一勇太郎)の誕生日が来るのだ。
何が欲しいかが分からないから、英に相談したいんだけどなぁ。
『…で、英、 どうなの?』
「さぁ…俺の時みたく塩キャラメルとかで良いんじゃないの?」
『もー、あれはごめんってば!』
こんにゃろ、まだ根に持ってたか。というのも、中3の誕生日に塩キャラメルを百均で買って、プレゼントした。しかも1箱だけ。
「じゃ、俺は寝るから」
『あーきーらー!』
「うるさいなぁ…」
寝ようとする英をがくがく揺さぶる。話し掛けても応えてくれない。そんなことをやっていると、教室のドアの前に数人の男子。
「くーにーみーちゃーん!」
「ちょっと海宙、気持ち悪いんだけど」
『わたし…じゃないんすけど』
「じゃあ誰で…」
『ん、あの人』
指差せば、ものすんごいイヤそうな顔。例えるなら、面倒な仕事を押し付けられたような。例えるなら、長話の好きなオバチャンにばったり会ったような。
「げ、及川さん…」
「ちょっと国見ちゃん、あからさまにイヤそうな顔しないで。キャプテン悲しい!」
「だまれボゲ!」
隣の人からがつーん、と及川さん?の頭にげんこつ。それよりも、キャプテン…?
『じゃ、あの人がバレー部の…』
「及川サンだよん☆」
「ウザ…」
「国見ちゃん!?」
この及川さんというお方、バカにされてる…