Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第18章 夏の病?《チーム音駒》
【黒尾 side】
"万年マネージャー不足"
こうも不名誉な異名が、果たしてこの世にあるのだろうか。ライバル校戸美(のへび)の大将にはさんざん言われたもんだ。
確かに少し前まではそうだ。俺や夜久、海が1年の時代もそう。女子マネという存在が無いがために、雑用という雑用をひたすらこなした日々。
だが、それももう終わりだ。
その日々にサヨナラを告げる日が来たのだ。
「やっぱ女子マネさいこーッ!」
「クロ、うるさいから…」
両手を挙げ叫ぶ俺。それを静かに渋い顔で言う研磨。真夏の夕方の体育館、そこで練習をする俺たちバレー部の面々。
その視線の先には、慌ただしく動き回る一人の女子生徒がいるのだった。
名前を蒼井海宙という彼女は、研磨がクラスから引っ張ってきた新人マネージャーだ。彼女が加わったのは7月の週末合宿の直後、夏休み前のことだ。
研磨曰く"夏休みの予定を訊いたらほぼ暇人だったので試しに誘ったら即答でOKだった"
『黒尾さん、黒尾さんっ』
「ん、おぉ、どした?」
『練習中にすいません。帰りに寄り道しても良いですか?買い物に行きたくて』
「何買うの?」
『スポーツドリンクを作れる粉末の在庫が切れそうで。今日は安売りなので、買いに行きたいんです』
「そっか、なら帰りに買いに行くか」
『はい、お願いします』
ぺこり、とお辞儀をしてパタパタと駆けていく蒼井。走る度に揺れる、結ばれた髪がかわいらしい。なんだっけ、あれ。
「おい、リエーフー」
「はいっ、何すか?」
「蒼井の髪型何てのだっけ?」
「たしか、ポニーテールっすね。アリサがこの前やってました!」
そうか、ポニーテールか。馬のしっぽ。ちなみに俺は黒のしっぽ。お揃いだな。