Volleyball Boys 《ハイキュー!!》
第14章 ★宵の月光《及川 徹》
うぅ、体が怠い…寝返りを打つと、腰がずきりと痛んだ。これがあれか、俗に言う行為の後遺症ってやつか。モソモソと動くと、及川さんの姿が目に入った。
うわぁ、寝顔綺麗だなぁ…すぅすぅと小さな寝息を漏らす彼の顔は、整っていてとても綺麗だった。まるで美術品みたい。
そっと手を伸ばしてつん、とほっぺをつっつく。ん~と唸りながらくすぐったそうに身を捩る。ヤバい、すっごいかわいいんだけど。つんつんしてると、不意に腕を掴まれた。
「こら、なに寝てる人の顔をいじってるの」
『及川さんっ、起きてたんですか!?』
いたずらが見付かり驚く私に、及川さんは不敵にニヤリと笑った。
「あれぇ、さっきみたいにカワイく"とぉるぅ"って呼んでくれないの?」
『なっ…///』
耳まで赤くなる私。彼はというと、完全に私の反応で遊んでる。
「カワイかったのになぁ、初めてなのにあんなに喘いで。むふ、思い出すだけで勃ちそ…」
『ヘンタイっ!』
「ぐふ…っ!」
彼の胸元を思いっきり叩く。報復だい。それからその逞しい胸板にすり寄ってみた。トクトクと心臓の音が鳴る。
『ねぇ…』
痛いなぁと胸元をさする彼をちらりと窺う。
「なに?」
『私ね、一人がキライなの。両親にイイコで待っててねって言われて、お留守番して。なのに帰ってこなくて、置いてかれて。親戚に育てられたの』
今まで誰にも言ったことの無い過去。及川さんは私の頭を自分の胸に当て、優しく撫でてくれた。それは親が子供をあやすみたいで。
『ワガママ言うかもしれない。心配になったらメールも電話もたくさんするかもしれない。それでも、私のこと好きでいてくれる?』
「海宙は俺の大好きな人だよ。これから、君だけを愛するから。一生、ね」
彼の気持ちが嬉しくて、その言葉が嬉しくて、ポロリと涙が流れた。それは悲しいときのものじゃなくて、あったかい涙。
『徹、好きです。本当は大好きです』
「知ってるよ。俺も好きだから」
及川さんなら、徹なら大丈夫。
貴方のそのやわらかな光は、
夜道を照らす月光みたいに
その道を輝かせるのだろう。
彼と一緒なら、どんな暗闇だって平気。
2人でなら手を取り合って生きていけるね。
会社では冷たくしてごめんね?
でも大好きよ、徹。
END.