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私は醒めない夢を見る

第2章 秘密


「はっ?」
「ですから、私が他の生徒を襲わないように、定期的に皆川さんの血液を提供してくれませんか?」
先生は場違いなほどニッコリと微笑んだ。
「私は構いませんよ。提供者がいるに越したことはない。それに、見られたからには黙ってお帰しするわけにもーーー」
と言いかけた途端、
「ちょっと失礼しますよ」
松野先生が立ち上がり私をひょいっと横抱きにした。
その瞬間、青い光線が目の前で炸裂した。
「!」
咄嗟に目を閉じたけど、目が少しチカチカする。
「大丈夫ですよ、皆川さん」
先生が私をそっと床に立たせる。腕の力は、わずかに緩んだ気がした。
「危ないでしょう、そんな物騒なものを学校で使ったりして」
先生が光が来た方向に呼びかけた。
「…先輩から離れてくださいよ」
暗がりから出て来たのは、当麻君だった。でも、いつもと雰囲気が違う。研ぎ澄まされた、弓のような凛とした空気を当麻君は纏っていた。
それに、手に持っているの、十字架…?
「当麻君…?」
「先輩、大丈夫でしたか?」
当麻君が近付こうとすると、先生は私を引き寄せ後ずさった。
「皆川さんを盾にする気はありませんが、こうでもしないと君は対話してくれそうにありませんからね」
「別に。先輩を傷付けることなくあんたを殺すことだって出来る」
二人の間に、ピリピリとした空気が流れた。
「まさか君が退魔士だったとは、驚きましたよ。それに、まだ若いのに詠唱にも滞りがない」
「俺だって、入学してからずっと感じてた瘴気の正体があんただって知って驚いた」
「当麻君? 退魔士ってなんなの? なんで当麻君がそんな…」
わけが分からない。
当麻君は表情を緩めると、ポケットから私にくれたのと同じストラップを取り出した。
「先輩にあげたこれ、お土産でもなんでもなく俺が加工した聖水晶だったんです。…俺の祖父は、そいつみたいな奴らを退ける退魔士だったんです。祖父が死んでからは、俺が跡を継ぎました。この水晶も、祖父から受け継いだ技術の一つです」
「ああ、それも君でしたか。ここ数日、皆川さんを護るように結界が張られていたので疑問でしたが、皆川さんのストラップを見て退魔士が絡んでいることに気がつきました」
だから当麻君と電話してるとき変な顔してたし、手が触れたとき静電気みたいのが流れたのか。
……納得しかけたけど、そもそも2人が退魔士と吸血鬼ってなんの冗談!?
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