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【 銀魂 】愛を教えてくれた人 ― R18 ―

第3章 台所は女の城




翌日の早朝、左肩の傷口が疼き目が覚めた成瀬は、被っていた布団を少しずらし上半身を起こし銀時の方に視線を向けた。
規則正しい寝息を乱さぬよう布団から完全に出て立ち上がり和室を出た。

誰も居ない静かな部屋全体をゆっくりと見渡した後成瀬は浴室へと向かった。


「さすがに丸一日入って無いと気持ちが悪いな…。」


着物を脱ぎ地面に置いた。
その時ジャラっと音が聞こえ、成瀬は床に置かれた着物の方を見た。
その場にしゃがみこみ着物の中を掻き分けていれば、先程の音の持ち主であろうペンダントが生地の隙間から見え隠れしていた。


「こんなところにあったんだ。」


成瀬はそのペンダントを手に取りしばらく眺めた後ギュッと握り立ち上がった。
下着姿のまま浴室を出て部屋に戻り、銀時の机のすぐ後ろにある窓を開け、ペンダントを握っていた手を窓の外に出した。


「……湊、アンタとはもう二度と会えない。お別れだ。」


成瀬は切なげな声でそう静かに呟き、手を離しペンダントを手放した。
成瀬が重力に逆らえずに落下するペンダントを見る事はなく、地面に落ちる音だけが虚しく響いた。

それからその場から動かずに居た成瀬の背後で襖が開けられる音が聞こえた。


「こんな朝早くにさっきから何やってんのおま……」

「おう、銀時か。おはよう。」


成瀬が動き回る気配を感じ目が覚めた銀時は何事かと思い、襖を開けた途端銀時の目に映ったのは下着だけで窓辺に立つ成瀬だった。
普通ならばここで成瀬が悲鳴を上げ、そこら辺の物を銀時に投げるという事になるだろうが、そうはならず寧ろ真逆だった。


「……え、あの。成瀬さん?…そんな格好で、君は一体何を……。」

「過去との決別だ。」

「いやいやいやいや、意味わかんないから!過去との決別で何で下着姿!?衣服と決別してんじゃねェか!!」


銀時のおどおどとした質問にも成瀬は恐ろしい程冷静に答えた。
そんな成瀬の対応にすかさずツッコミを入れる銀時だったが、成瀬は顔色ひとつ変えずにその場に立っていた。


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