第8章 Ⅱ ───狂おしい程に───
シンくんの上に居る私は優位な筈なのに、囚われたままだ
「・・・頂戴。」
「やぁ・・・」
「嫌、ねぇ・・・
こんなになってるのに・・・ネ。」
シンくんが触れるトコ総てが熱い。
恥ずかしくて少し身体を離すけど、
「シンく・・・だめっ・・・!」
「ダメじゃないでしょ?
────もっと鳴いてよ。」
引き寄せられ耳元に顔を埋める。
軽く触れられているだけなのに、悦んでいる私がいる。
「熱っ・・・ククッ。
たまらないね。」
「ちがっ・・・んっ・・・」
どんどんと熱を帯びる身体
恥ずかしさなのかそれとも───
「触ってるだけなのにね。」
「だっ、て・・・
シンくんなんだ、もんっ・・・」
「っ・・・もっと欲しい?」
して欲しくないなんて言えば嘘になる。
だからキスをした。
満足そうに口角をあげるシンくんが目に映る。
「いい子だね。」
ふと、狼の足音が聴こえた。
「シンくん・・・」
「使い魔でしょ・・・んっ・・・」
首元に挿さる牙にクラクラする
「っ・・・!」
「あぁ・・・でも、
アンタのこんな姿見ていいのはオレだけだ。」
言いながら私の乱れた服を直してくれた。
優しいシンくん。
「有難う。」
「はぁ?
別にお礼言われる様な事してないんだけど?」
と、言い終えて1つ頬にキスをくれた。
「ホントと居ると調子狂う。」
頭を掻きながら使い魔が銜えているモノを手に取るシンくん。
そりゃあ私だって調子狂いますよ?
大好きな人と一緒に居るんだもん。
「ねぇ。
兄さんに出掛けるって言ってきてくれない?」
「シンくん出掛けるの?」
少し寂しい・・・少しは嘘。凄く寂しい。
「何て顔してんの?アンタも行くんだよ。」
「いいの!?」
「早くしないと置いて行くけどね。」
「待って待って!
カルラさんのところに行ってくる!!」
「わかり易い」
と笑うシンくんを背にカルラさんの部屋に向かった。
シンくんとお出掛け・・・これはデート?
頬が緩む。
何処に出掛けるのかな?楽しみ。
カルラさんの部屋の扉をノックする。
「カルラさん。今大丈夫ですか?」
「入れ。」