第7章 Ⅱ ──蒼い欲望の目覚め────
寝てばかりいるせいか、簡単に目が覚める。
少し早く起きちゃったな・・・
私を優しく包み込んでくれている腕に安心する。
シンくんは優しいな・・・私もシンくんに優しくできていればいいな。
ギュッとシンくんを抱き締める。
ふと、シンくんが笑った気がして嬉しくなった。
・・・それにしてもする事ないし、お風呂入ろうかな?
起き上がろうにも、シンくんの腕が解かれる事はない。
「シンくん?お風呂入ってくるね?」
「・・・そんなの・・・後で
一緒に・・・・・・入れば・・・」
「えっ!?」
返事が返ってきた事に驚いたが、それよりも一緒に入ればって・・・
一緒にお風呂入るって事だよね?
「ダメダメ!」
私は全力でシンくんの腕から抜け出した。
羽織っていただけのシャツにちゃんと腕を通す。
「これシンくんのだ。」
・・・くだらないかもしれないけど、こういう事がすごく幸せなんだ。
シンくんに言ったら笑うかな・・・?
いや。優しく微笑んで『・・・あっそ。』って言ってくれるだろうな...。
そんな事を考えながらバスルームに向かった。
「あれ?」
髪を洗いながら気付く耳が消えてない!!
尻尾は無くなったのに・・・
カルラさんに見られたら怒られてしまいそうで、怖い。
もう、このモフモフの耳が、消える迄カルラさんに会わないようにするしかない!
「よし!!」
シンくんの部屋に戻るまでにカルラさんに会う可能性は充分あるから、頭にタオルを被る。
リビングを通り抜ける際に窓が開いている事に気付く。
「さっきは開いていなかったような・・・?」
恐る恐る近付き顔を覗かせると・・・
「貴様何をしている?」
あ、今一番会ったらいけない人に会ってしまった。
「カルラさん!」
私は慌てて頭とタオルを押さえた。
「おい。髪が濡れている。」
「お風呂いただいていたので・・・」
カルラさんの視線が頭に・・・どうか気付かれませんように・・・!
「カルラさん早く寝て下さいね?
お身体に障りますから。」
「そんな事はどうでもいい。」
カルラさんはソファーに腰をおろして言った。
「座れ。」
と、隣に視線を落とす。
「・・・・・・ハイ。」
勿論抗えるワケがない。