第7章 Ⅱ ──蒼い欲望の目覚め────
ん・・・ふかふかふわふわ。
全身で抱き締めれば、抱き心地の良さに益々離れ難くなる。
それにシンくんの匂いもするから不思議。
「おはよ。」
瞼を開ければ眼帯をした狼が居た。
「シンくん・・・!?」
一気に目が覚める。
「"シンくん"は、シンくんだったの!??」
道理で声がそっくりなわけだ...。
「本当に鈍い子。」
呆れたように言うシンくんの声には暖かさが垣間見えた
それがとても嬉しくて自然と笑みがこぼれる。
「全然気付かないし、
脳ミソ入ってないのかと思った。」
そう言って長い舌で私の頬を舐め上げた。
「ふふっ。入ってないのかもしれないね。」
「まぁ、アンタもこれ位できるでしょ。」
シンくんは一瞬にしてヒトの姿に変わった。
「えっ?出来ないよ。」
「やった事ないだけでしょ。」
出来るはずがないから試した事も、思ったことも無い。
「簡単だし・・・意識してごらん。」
「意識・・・する・・・?」
総てをひろう耳に・・・
「ちょっと!!」
素直な尾・・・
「っ!!」
「わっ!」
シンくんの額と私の額がくっつく。
「シンくん近っ───・・・」
「それよりさ・・・
、始祖をバカにしてる?」
「えっ?馬鹿になんてしてないよ。」
シンくんは納得いかないみたいで、立ち上がり窓のカーテンを開けた。
「こっち来なよ。」
私に手を差し伸べる。
「うん・・・
あっ!待ってダメ。」
伸ばしかけた手を縮めた。
だって私、何も着てないもん。
「はぁ?待つわけないでしょ。」
強引に腕を引かれ────
「シンくん!や・・・め・・・」
抱き締められて思わず目を瞑った。
そして耳元でシンくんの声がする。
「目、開けてごらん?」
恐る恐る瞼を開ければ、シンくんに抱き締められた私・・・?が窓ガラスに映っていた。
「バカにしてるとしか思えないでしょ?」
「なんで・・・
耳と尻尾しかないの?」
リアルなコスプレみたいになってるよ...。
「こっちが聞きたいんだけど?」
偏ったイメージ持ち過ぎたのかな?
何にせよ、馬鹿にしてると思われても仕方ない。
「これはお仕置きだネ。」
シンくんはそのまま首筋に牙を挿し込んだ。
「っ・・・シンく・・・んッ・・・。」
身体からチカラが抜ける。