第12章 街角の出会い
アラジンが窓辺に座り込んだのが見えた時、突然、窓に向かってくる大きな影に気づいた。
大きい何かが、勢いよく部屋の窓辺から飛び込んでくるのがわかって、ハイリアは慌てて窓辺にいるアラジンを庇ったが、こちらに衝撃がくることはなかった。
音がしたのは窓に対面する壁の方で、何かが勢いよく壁面に激突した。
いったいなんだと思って壁をみると、頭とお尻を逆さにした状態で、だらしなく壁に転がり張りついている人がいた。金髪の少年だ。
目があい、青ざめて固まっている少年は、昼間、カシムと共にいたあの少年だった。
なんで彼が、窓から投げ出されるように、飛び込んできたのだとハイリアが驚く中、アラジンも驚いた様子でその少年を見つめていた。
「アリババくん……?」
「よぉ……、アラジン」
「え? アリババ……?! 」
アラジンと少年が交わした会話を聞いて、ハイリアの頭が混乱した。
昼間会ったこの少年が、アリババとはどういうことだ。
「はい、間違いなくアリババさんです。私が見つけて連れてきました」
気づけば、モルジアナが窓辺に平然と立っていた。
ここは、地上からかなり離れた上の階にある部屋だ。当然、近くに階段もスロープもない。
まさか、ここまで跳び登って入ってきたというのだろうか。でも、それ意外に考えられなかった。
さっき、窓辺から少年を投げ込んだのが、彼女だったのだろう。
この少年を連れ、抱えてきたということなのだろうか。常人離れした脚力にも程がある。
「でもどうやって……? 私、昼間会った人が、アリババくんだったなんて知らなかったし……」
ハイリアは確かに昼間、この金髪の少年とは会ったが、彼の名前も知らなかったし、聞かなかった。
当然、彼の居場所なんて知らないのだ。
だから、モルジアナには一言も、アリババと会ったなんて話せていないし、有力な情報も何も伝えることはできていないはずなのだ。