第12章 街角の出会い
助けてもらったことに、感謝はするけれど、このままよくわからない二人に、ついてこられるのは面倒だった。
「道は中心街までわかれば、あとは一人で帰れるので、送ってもらわなくて結構です。私はここで少し買い物をしたいですし、二人とも用事があるのでしょう? 」
ハイリアが淡々と言うと、金髪の少年は警戒心を感じ取ったのか、苦笑いを浮かべた。
その様子を見ていた、カシムが言う。
「連れがいるらしいからな、見られたくないんだろうよ。そんなに見られたくない連れなら、見てみたい気もするけどな? やっぱり男だろ? 」
「違います! 」
警戒をしているハイリアをからかって、カシムは笑みを浮かべると、道の先を指さした。
「中心街には、この道をひたすらまっすぐ行けばたどり着く。途中、道が細くて不安になるかもしれねぇが、気にせず、道なりに突っ切ればいい」
思いのほか、カシムは丁寧に教えてくれた。
「ありがとうございます」
「いいって、気にするな。 友達を待たせてるなら、早く行ってやれよ! 」
そう言ってカシムは、もう一度お礼を言ったハイリアを置いて、つかつかとバザールの奥へと歩いていった。
「おい、カシム! 待てよ! 」
相棒だという金髪の少年は、こちらを心配そうに何度か振り返り見ながら、カシムの後ろを追いかけて行った。
そしてすぐに、カシムと共に、バザールの奥へと姿を消してしまった。
妙な人ではあったけれど、カシムのおかげで助かった。
ハイリアは、おすすめだというエウメラ鯛の香草焼きと、他にも食べやすそうなものを少し買って、アラジンが待つホテルへと、急いで戻った。