第27章 緋色の夢 〔Ⅻ〕
「なんで、起きねぇ……」
身体に刻まれていた傷は治してやった。
暴走していた二種類のマゴイも、魔法具で治めてやった。
治してやれるところは、全部やってやったというのに、ハイリアは目覚めない。
呪印が促す闇は、今も進んでいる。
それなのに、組織に言われた期日ばかりが迫る。
堕転させろと決められた期日ばっかりが。
「早く起きろよ、ハイリア……! 」
── おまえが何者だろうと、かまわねーから……!
何の反応も示さないその姿に苛立ちながら、ジュダルは落ち着かない気持ちを紛らわせるように眠るハイリアにキスをした。