第26章 緋色の夢 〔Ⅺ〕
こちらも黙り込み、ただその瞳を見つめていると、やがて諦めたような光が宿り、哀れむような眼差しを向けられた。
『それが、我が王の望みとあらば……』
望み通りの答えに、ほくそ笑む。
「ありがとう。大好きよ、アイム」
無二の従僕にそう告げて、取り返した金属器を腕にはめ込んだ。
壊した扉から武器庫を出ると、目指すべく暗黒の黒点をたどった先に、闇のコアを持った数体の影を見つけた。
── 何体こようと無駄なのに……。
思いながら二対の銀の腕輪にマゴイを灯した。
「恩恵と破壊を司る精霊よ。我が力となり、不善なるひずみを破壊し、清浄なる恩恵を与えよ。我が身に宿れ、アイム! 」
青い炎を全身にまとい、真っ白な獣のようで、闇なる蛇の使いのような姿に変貌を遂げて飛翔する。
目指すは暗黒なる大きな闇の一点。
黒ルフたちが呼ぶ、その場所だけだ。