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【マギ*】 暁の月桂

第24章 緋色の夢 〔Ⅸ〕


『変わったこと……? もしかして、マゴイが見えることか? 』

『おまえさんマゴイが見えるのかえ!? 』

『まぁな、俺はヤンバラの出身でな。マゴイを扱うことには慣れているんだ。その様子だと婆さんも見えるたちだな。ハイリアもそうなのだろう?
 マゴイ操作に興味を持たれた時には少し驚いたが、それが何か関係するのか? 』

驚く様子も見せず、当たり前のように言ったムトに、老婆は少し呆れていた。

『そうかい、ヤンバラの。どうりで驚かんはずじゃわい。
 しかし、変わった男じゃのう。マゴイを扱う者なら、マゴイの知識に疎い者が多いことぐらい知っておるじゃろうに……。
 おまえさんの言う通り、ハイリアにもマゴイの流れを見る力が宿っておる。じゃが、おばばよりルフの力が強くてのう……』

『ルフ? 』

『マゴイの源となるものじゃよ。白い鳥のようなものを見たことがないかえ? 』

『マゴイの気脈の中にいるやつか? 光る鳥のようなものが見える時はあるが……』

『そうじゃ、それであっておる。ルフはマゴイの源であり、世界の血潮じゃあ。
 おまえさんには、マゴイを通してしか見えていないようじゃが、ルフはヒトの体内に宿るものだけではない。今も世界を飛び交い、大いなる流れにのり、命を巡っておるんじゃよ。
 おまえさんが座っておる、ここでもな』

婆さんはそう言って、天井近くへと視線を移した。

見上げてみると、上では白いルフたちが飛び交いながら、長い川のような光の帯を作っていた。特に変わり映えもしない、よくある光景だ。

婆さんの視線を追ってムトもそれを仰ぎ見ていたが、わからないのかすぐに視線を老婆へと戻していた。

『そうなのか……。それで、そのルフの力が強いと何かあるのか? マゴイやルフが見えるだけで、ハイリアがあそこまで村人から嫌われるわけがないだろう? 』

『そうじゃ、ルフが見えるだけでは何も起こらん。少々、不思議な行動をとる子どもに見えるだけじゃろう。
 だがのう、ルフが見える者の中には、魔導の素質をもつ者が時々現れるのじゃよ。この子は容易に使いおる。
 近頃は村の子らを、たびたび傷つけてしまってのう……』
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