第24章 緋色の夢 〔Ⅸ〕
『あのね、ムト……。ハイリアね、ムトにききたいことあるの……』
『聞きたいこと? なんだい? 』
『えーっとね……、ムトがハイリアのこと、たすけてくれたでしょー? そのとき、ムトのてがね、きらきらしてたの……。あれってなぁーに? 』
『手がキラキラ……? ああ、もしかしてマゴイ操作のことか? 』
『マゴイそうさ……? 』
ハイリアが首をかしげる。
『少し手を貸してみな、ハイリア』
ムトはそう言って小さな白い手を取ると、ハイリアの手の平に人差し指をおいて、指先にマゴイを集め始めた。
マゴイの淡い光がムトの指先から、ハイリアの身体へと流れ、小さな身体を包むように灯されると、真っ白な腕の中にある枝分かれしたマゴイの流脈がはっきりと輝き出す。
その光のきらめきを見て、ハイリアは目を見開いていた。
『これがマゴイ操作だ。主に身体の不具合をみる技だが、他にも色々使い道はある。さっきおまえの身体の具合をみた時に使ったのもこれだ。
キラキラしてたのは、この「マゴイ」のことじゃないのか? 』
『マゴイ……? 』
『おまえが言う、きらきらのことさ。「気」とも呼ばれる、誰にでもある命の源だ。おまえには、これが見えたんだな……』
『ハイリアがへん……? ムトにはみえてないの……? 』
不安げにハイリアが見上げた先で、ムトが微笑んだ。
『なにも変じゃないさ。俺にだってマゴイ操作をしている時には見える。今だって見えてるよ。
心配するな、おまえも俺の影響を受けてマゴイの光が見えたんだろう。俺が宿したマゴイが消えれば、光も見えなくなるはずだよ』
ムトが小さな白い手の平に置いていた指を離すと、ハイリアを覆うように光っていたマゴイの帯も、徐々に光を薄くして消えていった。
『ほんとだー、きえちゃった! どうしてー!? 』
ハイリアは不思議そうに何もなくなった手の平を見つめて、指を開いたり、閉じたりを繰り返していた。