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【マギ*】 暁の月桂

第23章 緋色の夢 〔Ⅷ〕


伸ばした手にマゴイを宿そうと力をこめた瞬間、身体中のマゴイが急激に揺すり動かされるような感覚が走って、ハイリアは目を見開いた。

『なりません! 』

響いてきた声と共に、集めたマゴイが右手の金属器に呑み込まれた。

腕輪に描かれた八芒星の中央に黒い楕円の空洞が現れ、蛇のような金色の瞳が浮かびギョロリとこちらを睨み見る。

『我が王よ、もうお止めください! 』

「アイム、またあなたなの!? 」

再び邪魔をしてきたジンに苛立ちが募った。

トラン語の意味に嘘をついた次は、マゴイを放つ妨害だ。

なぜこんなに、足止めするように邪魔をしてくるのだろうか。

「いい加減にして! 私の邪魔をしないでよ! 」

『お考え直し下さい! 今からでも遅くはありません。止めるべきです! 』

「なんでそんなに止めたがるの? 私が何をしようとあなたには関係がないはず……! 」

『あなた様の御身が危険だからです! あなた様は、踏み入れてはならないところまで探ろうとなさっています。これ以上、後戻りができなくなる前に、どうか……! 』

強い眼差しを向けてくるアイムの瞳からは、確かな焦りが感じられた。

「危険だなんてとっくにわかってるわ! それでも知りたいの! もう、構って来ないで! 」

ハイリアはアイムの制止を無視して、床を叩きつけるように八芒星に触れると、勢いよくマゴイを放った。

白い閃光が八芒星の図面をなぞるように星を描く。

『なんてことを!? 』

叫ぶようなアイムの声が響き、ハイリアの魔力に反応を示した八芒星が黒く眩い光を放った。

湧き上がった漆黒の光が広間を黒く染め上げて、闇のような光がハイリアの身体を包み込む。

暗闇に視界が覆われた瞬間、高い場所から落ちるような浮き立つ感覚がして、ひんやりとした何かが手に触れた。
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