第21章 緋色の夢 〔Ⅵ〕
「立ち去れ」と書かれていたならば、アイムが言う通り、誰かがやって来ても不思議ではない。
仕方なく扉に背を向けて歩き出したハイリアは、回廊へと足を踏み入れる前に、後ろを振り返り見た。
── いったいどうすれば、開くのだろう……?
廊下の奥に見える扉は重々しく見える。
あの奥にどんな秘密が隠されているのだろうか。
漆黒のルフを宿す者たちの姿を思い出し、胸の奥がずきりと痛んだ。
── あの黒いルフの秘密を、早く調べなくちゃ……。
胸のわだかまりがまた少し大きくなるのを感じながら、ハイリアは扉にまた来ることを誓い、来た道を戻り始めた。